女のつま先は海

嫌な夢を見るたびに、嫌な出来事に出会うたびに、なぜだかそれらが自分の形を確認してくれているような気がした。


彼女は昔からそうだった。何か嫌なことがあるたびに、それを養分にして成長していくようなところがあった。それを周りの人間は、強いひとだ、と口口に言ったが、そのたびに、彼女のまぶたは伏せられるばかりだった。深く。


ある夜、彼女は海に行った。こんな場所に女1人で来るなんて、死にに来たようなものだなと心の中で笑った。海は綺麗だった。そして空恐ろしくもあった。彼女は海に飛び込みたいと思ったが、理性がそれを反した。


彼女はその場にうずくまって泣いた。いっそ理性などなくして、この海の中に、ずぶずぶと入っていけるような、そんな人間になりたかったと思った。


その夜、彼女は、世界に少しだけ反抗した。つま先だけ海に浸して帰ってきた。


彼女は安心した。この世界に私がいると、誰かが思ったとしても、私のつま先だけは、今もあの海の中で静かに漂っているから。

わたしはこんなむずかしいこと、かんがえたことがないからわからないわ。どうして海の中って、すべてをゆるしてくれるなんて思われているんでしょう。

君はお酒でも飲んで消化していなよ。そういうのがお似合いさ






		
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